有馬記念/開催前日版
  (1998年12月27日提供) [index] | [next] | [back]

12月23日はサイレンススズカの追悼式だった。
先週のレビューにも書いたように、金鯱賞でのパートナーだったミッドナイトベットが香港国際Cを1着したのならば、中京のどん詰まりの尾張Sが金鯱賞の枠連2−5を使うのは当然として、国際レースのスプリンターズSまでそれに反応して枠連2−5になってしまう。
そして、追悼式当日の模様はさまざまなニュースでかなりの時間を裂いて報道され、NHK名古屋のアナウンサーが書いた曲・詩を永井オーナーが自費制作のCD化することまで記事になる。
今週の競馬は、土曜日のラジオたんぱ杯3歳Sは、GIレースの1枠1番でサイレンススズカがあんなことになってしまったのならば、サイレンススズカの新馬戦1着ポジションでもある1枠1番でデビューしたアドマイヤベガ(武豊・橋田満調教師・サンデーサイレンス産駒!)が降着処分という一種の逆サイレンススズカアクションをして後継者の名乗りを上げ、追悼式の週に重賞制覇をし、武豊の年間最多勝記録がそれに華を添える。
同じようにフェアリーSでも、GI阪神3歳牝馬Sで逃げるしかないと宣言して華々しく散ったエイシンルーデンス(サンデーサイレンス産駒)が、地獄の底から甦るかのように2着になる。
もう1つのオープンレースのクリスマスSも、同じ中山のGI皐月賞があった週にサイレンススズカが1着した小倉大賞典の枠連3−7が一発で絡む。
ターフはサイレンススズカの追悼一色だ。
よってクリスマスの週に行われる有馬記念は、サイレントナイトに似合うサイレンススズカなのだから、いくら何でもサイレンススズカの追悼をやらなきゃしょうがないだろう。

その追悼のパターンは、水曜日版にも書いたように1995年の有馬記念の出走馬パターンとそっくりなのだから、1995年がコピーされるはず。
あの時は宝塚記念で死んでしまったライスシャワーに対して、関東のインフォメーションが、
あなたがいた季節を忘れない。
復活の春、貫禄の夏、台頭の秋、執念の冬。
それぞれの栄光の一瞬、鮮やかな場面に想いを馳せる。
感謝を込めて、メリークリスマス・グランプリ。
あなたがいた季節の輝きを忘れることはない。
ライスシャワーのいくつかのレースのうち季節レースであり「復活の春」に似合うその年の天皇賞(春)を使って、
▽95年/天皇賞(春)
1着 2枠右3番ライスシャワー的場
2着 7枠左15番ステージチャンプ蛯名
3着 8枠中17番ハギノリアルキング武豊
▽95年/有馬記念
1着 7枠左10番マヤノトップガン田原
2着 2枠 2番タイキブリザード坂本
3着 1枠 1番サクラチトセオー小島太
ライスシャワーが死ぬ直前に最後にパッと咲いたレースを一発で使ったのだから、現役馬がGIレースであんなことになったしまった今年も、少なくともサイレンススズカが死ぬ直前に咲いたレースを使う可能性が高いだろう。

そんなときの関東のサラブレッドインフォメーション、
このこの時のために夢がある。
は、G2のくせにお客さんが沢山入り、マル外を蹴散らして逃げ切り、G2のくせにウィニングランをした毎日王冠のこと。
そして先週「衝撃=はち合わせ」ならば毎日王冠と同枠だった武豊の2枠3番シーキングザパールが2着だったように、今週のインフォメーションは毎日王冠の何を使うのかを教えてくれるのだが、「この」は「ここ、これ」と同様に「お薦め品はこれ!」と自分自身が誇れるものを指す指示語の一種だから、毎日王冠の一番の売りものだったサイレンススズカのポジションを使う可能性は非常に高くなった。
しかも日曜日の六甲Sはあの毎日王冠の日の関西の京都大賞典と同じ7頭立てで、今年関西のメインが7頭立てだったのはあの時しかない。(本当は頭数立てを多くして売上を上げなくちゃならない競馬会なのに、わざと頭数を削っているとしか思えない)
実はこの頭数立ての演出も立派なサインだったりする。
土曜日は、日曜日が関西→関東のプレゼントならば土曜日は関東→関西のプレゼントにならなければならなかったから、16頭立てのフェアリーSはカタカナのステークスレースで16頭立てのスプリンターズSと同じである以上、ラジオたんぱ杯3歳SはスプリンターズSの裏になるサンスポ賞阪神牝馬特別と関係しなければならなかった。
▽阪神牝馬特別
1着5枠左7番エガオヲミセテ高橋亮
       (サンデーサイレンス産駒)
2着8枠右12番アドマイヤサンデー松永幹
       (サンデーサイレンス産駒)
※馬連8,460円
▽ラジオたんぱ杯3歳S
1着4枠 4番アドマイヤベガ武豊
       (お星さま)
2着8枠右10番マチカネキンノホシ岡部
       (お星さま)
※馬連270円
このように「要素のゾロ目」「アドマイヤ馬名の連対」「8枠右2着」といったところが同じ。
よって7頭立ての六甲Sがあるからこそ、有馬記念は毎日王冠なのだ。

そのサイレンススズカのポジションは、
(9頭立て)2枠2番サイレンススズカ武豊
9頭立てだったから外に出した11番も考えなくちゃならない。
2枠のエアグルーヴかダイワオーシュウ
1枠2番グラスワンダー
11番セイウンスカイ
のどれか1頭なのだが、追悼式があるときは必ずその追悼される馬と同じ性質を持ったものが馬券になるルールがある。
例えば、95年のライスシャワーの場合はライスシャワーと同じようにダービー馬を負かして菊花賞を1着したロベルト系種牡馬のマヤノトップガンだった。
今年のナリタブライアンの場合は、ナリタブライアン要素の武豊や南井克巳が馬券になりまくっていたし、ナリタブライアンはGIレースをたくさん取った馬だからGI馬が出走してくれば必ず馬券になっていた。
ならば、この4頭の中にサイレンススズカの性質があるのは、
2枠3番エアグルーヴ武
(毎日王冠と同じ2枠に入ったサイレンススズカ騎手の武豊)
6枠11番セイウンスカイ横山典
(サイレンススズカと同じ日の京都大賞典を逃げ切った馬。かつレース終了後華麗なるウィニングランをしたサイレンススズカに対して、レース開始前にゲート入りを嫌ってスタート時間を遅らせたセイウンスカイという対比。)
この2頭のみ。
95年との重なりも、エアグルーヴならばあの時の2着の2枠が説明できるし、セイウンスカイならばあの時1着のマヤノトップガンと同じように菊花賞を逃げ切った4歳馬が菊花賞以来出走したと説明できる。
東京大賞典が枠連2−6、馬連03−11で340円の超低配当だった直後に、全く同じ目で馬連で低配当になるなんて聞いたことがないから、馬券になるのはどちらか一方だけだろう。


セイウンスカイかエアグルーヴの
どちらか一方。
インフォメーションのサブコピーには「時世の憂鬱を吹き飛ばす鮮やかな走り」と書いてあって「逃げ切り」が強調になっているときに、土曜日のメインレースでの逃げ切りはなかったのだからセイウンスカイの方が強いか。


阪神牝馬特別→ラジオたんぱ杯3歳Sが高配当→超低配当の流れならば、逆の毎日王冠→有馬記念は超低配当→高配当になるはず。
さらに土曜日の東西メインが馬連1番人気の決着というのはどこか先週の土曜日(低配当)→日曜日(東西メインの高配当)の関係を思い出す。
そして武豊が年間最多勝という「名誉の記録」で締めた土曜日ならば、日曜日は今年のGIレースが万馬券のシリーズだったのだからまたまた「お金の万馬券」で締めてくれる可能性はある。
セイウンスカイはそれだけ波乱に富んだ要素を持った馬だと思う。
万馬券を出すかもしれない馬にはさすがに「まさか」と思うものもあるのだが、万馬券はいつも人間心理の逆にある。
どちらにしても本命サイドにはならないはず。
馬連3点に夢を託すことにしよう。

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