毎日王冠・京都大賞典/水曜日版
(1998年10月7日提供) | [index] | [next] | [back] |
ナリタブライアンには、オグリキャップになるために積み残したものがある
ナリタブライアンとオグリキャップは次の10点の理由でペアだ。
(1) ナリタ、オグリはここナリタとここオグリをクリックしてもらえば分かるように歌舞伎に関連した単語だから、歌舞伎の大スター。ともに一家(兄弟馬たち)も構えている。
(2) ナリタブライアンはシャドウロール、オグリキャップは馬名の中にキャップ、ともにかぶりモノをしている。
(3) ともに4歳という早い時期に有馬記念を勝って年度代表馬となっている。
(4) ともに現役時代に最高賞金獲得額馬となっている。
(5) 現役ラスト連対では、有馬記念・オグリキャップ→メジロライアン・横山典弘、天皇賞(春)・ナリタブライアン→サクラローレル・横山典弘だから、横山典弘をパートナーに選んだ。
(6) 引退レースの騎手は武豊。
(7) ともに中央競馬では京都競馬場、東京競馬場の順で2回の引退式をした。
(8) ともに種牡馬入りした時点で内国産馬史上最高額のシンジケートが組まれた。
(9) 種牡馬の同期はオグリキャップにはアメリカから高額で導入したサンデーサイレンスがいて、ナリタブライアンにはヨーロッパから高額で導入したラムタラがいる。
(10) 1997年、ナリタブライアンは函館競馬場で、オグリキャップは札幌競馬場で種牡馬お披露目会を行っている。
見事なほど生き写しの馬だ。
ただ、お互い、完璧になるにはどこかに傷を負っている馬だった。
特にナリタブライアンの場合、大スターにも関わらず引退興業はひどいモノで、舞台のクライマックスで見得を切ったところをタイミング良く「成田屋!」と声をかけてもらわなければならないのに、完全にスカ。
どういうことかというと、オグリキャップは中央競馬に入って以来ほとんど活躍した馬なのだが競走生活の後半の天皇賞(秋)→ジャパンCでは惨敗。みんな「もう終わったな」と思っていたところ、引退レースの有馬記念で奇跡の復活を成し遂げて日本中が感動の嵐。その頃サイン読みを全くしていなかった私もテレビの前でボロボロ泣いた口だった。
それに対してナリタブライアンは、三冠・有馬記念をとって「もうこの馬負けないんじゃないの?」と思っていたら、古馬になってからは天皇賞(秋)→ジャパンC→有馬記念と敗退。
そのあと阪神大賞典でチラッと復活はしたけれど、肝心要のG1レースでは天皇賞(春)が2着で高松宮杯が4着だったから、感動を与えるほどの復活ではなかった。
要するにナリタブライアンは、引き際に怨念を持っているいわば「引き際がトラウマの歌舞伎大スター」なのだ。
この表現が不適当ならば、ナリタブライアンは春の霞の向こうに見える「おぼろ月」のような引退劇、オグリキャップは冬空にくっきり浮かぶ「名月」のような引退劇だったと言っておこう。
どちらにしても、
「神である俺様が、オグリキャップなどに負けてられるか。」
と言っているかどうかはわからぬが、少なくともナリタブライアンを神と見立てたJRAフェスティバルでオグリキャップとタマモクロスというカードを出して、彼らを神社の狛犬のように見立てながら神様・ナリタブライアンを祭ったという事実がある。
ナリタブライアンが狛犬以下であるわけがない。ナリタブライアンはオグリキャップを超えなければならない。
そして、現役最強馬のタイキシャトルは、4歳と短距離との体系は異なるが三冠馬で、シンボリルドルフの騎手の岡部が乗り、ルドルフの調教助手だった藤沢和雄調教師が管理している。
そのシンボリルドルフは現役最後のアメリカ・サンルイレイSで負けたことがトラウマだったのだが、タイキシャトルは岡部・藤沢調教師のコンビで海外G1レースを1着してルドルフのトラウマを解消した。
よってタイキシャトルは「三冠馬のトラウマの解消」のシンボルマークのような存在なのだが、そのシンボルマークがアメリカのBCマイルを止めて日本のマイルCS→スプリンターズSのローテーションだから、本当に彼がレースに出るかどうかは別にして「トラウマ解消気分」を日本持ち込む予定が立ったことになる。
さらに今年の一連のフェスティバルは、
・冬期オリンピック開催期間中のきさらぎ賞→共同通信杯4歳S→デイリー杯クィーンS(ここで連対した馬たちはほとんどG1レースを連対した)
・春先の報知杯4歳牝馬特別→フジテレビ賞スプリングS→日経賞のマスコミレースの万馬券三連荘
・初夏のワールドカップ開催期間中の鳴尾記念→マーメイドS→ラジオたんぱ賞では春先の万馬券三連荘レースがサインレースになっていた
・初秋のプリスセスダイアナの追悼は新潟記念→新潟3歳S→京王杯AHともに8枠右が三連荘で1着
3回連続で続く傾向がある。
このように、
・ナリタブライアンの追悼式は三連荘で続く可能性が高い。
・ナリタブライアンのトラウマは引き際にあったわけだから、追悼式のテーマはタイキシャトルによって持ち込まれる予定の「トラウマ解消気分」である。
・ナリタブライアンは同じ歌舞伎役者の大スターだったオグリキャップを超えなければならない。
となっているのならば、ナリタブライアンの引き際である追悼式は、オグリキャップの引き際だった引退式の式次第をコピーしなければならないし、もしかしたらそれ以上になることも考えなければならない。
ズバリ、下表のオグリキャップの引退式三連荘をコピーするのではないだろうか?
オグリキャップの引退式三連荘 ナリタブライアンの追悼式三連荘 関東 関西 関東 関西 91/01/13
オグリ
キャップ
引退式
(京都)京成杯
(8頭立て)日刊スポーツ賞シンザン記念
(13頭立て)98/10/04
ナリタ
ブライアン
追悼式
(中山・
阪神)時事通信杯クィーンS セントウルS 3枠 3番ダイナマイトダディ
増沢8枠左13番ミルフォードスルー
河内5枠左8番エアデジャヴー
横山典7枠左11番マイネルラヴ
武豊(関東馬)5枠 5番ビッグファイト
小島4枠 4番イイデセゾン
田島良2枠 2番ナオミシャイン
柴田善5枠右6番マコトライデン
福永1枠 1番スタビライザー
岡部6枠左9番ニホンピロラック
千田8枠左14番ケイツーパフィー
小野1枠 1番シンボリフェザード
藤田91/01/15
(成人式)
オグリ
キャップ
引退式
(笠松)初富士S
(11頭立て)平安S
(10頭立て)98/10/10
(体育の日)
ナリタ
ブライアン
追悼式
(盛岡・
金沢)オクトーバーS 渡月橋S 7枠左9番マイネルグランツ
蛯沢4枠 4番パッシングルート
西浦2枠 2番アーティストターフ
柴田善2枠 2番キュンティア
高橋亮5枠 5番クラシックブリッジ
杉浦7枠左8番ミスタートウジン
村本5枠 5番シンボリクラウン
岡部6枠左 8番ホーセンホーライ
武豊(関東馬)2枠 2番シンボリガルーダ
岡部2枠 2番メイショウベンハー
南井8枠右8番マイネルパスポート
吉田8枠右11番マウントアラタ
太宰91/01/27
オグリ
キャップ
引退式
(東京)デイリー杯クィーンC
(16頭立て)京都牝馬特別
(16頭立て)98/10/11
ナリタ
ブライアン
追悼式
(東京・
京都)毎日王冠 京都大賞典 3枠右5番スカーレットブーケ
武豊1枠左2番ダイイチルビー
河内2枠 2番サイレンススズカ
武豊1枠 1番セイウンスカイ
横山典(関東馬)8枠右15番マジョルカシチー
田中勝4枠左8番ユーセイフェアリー
村本4枠 4番エルコンドルパサー
蛯名3枠 3番メジロブライト
河内4枠左8番ダンスダンスダンス
的場6枠右11番サマンサトウショウ
角田7枠 7番サンライズフラッグ
安田康7枠 7番シルクジャスティス
藤田
(関東は出目、関西は「関東馬」が繋がった。)
オグリキャップの時は、4歳の東西のペアの重賞で始まり、間に祝日・成人の日の地方競馬・笠松競馬場をはさんで、デイリー杯クィーンCで締めた引退式……。
それに対してナリタブライアンは、時事通信杯クィーンSで始まり、間に祝日・体育の日にはマイルCS南部杯(G1)・白山大賞典(G3)・年度代表馬アブクマポーロを出走させるという地方競馬でのお祭をはさみながら、古馬の東西のペアの重賞で締めるという追悼式……。
これだけ見事に一致しどこか対称的になっている以上、タイムテーブルはこれしかないだろう。
そして、ストーリーは、オグリキャップのやり方を見れば一目瞭然、
・関東では京成杯→初富士S→デイリー杯クィーンSと5番を共通させている。
・関西では日刊スポーツ賞シンザン記念→平安S→京都牝馬特別と4枠を共通させている。
式次第を同じ数字で統一させている。
当然、今回も何かの数字を統一させるナリタブライアンの追悼式に決まっていると思う。
というわけで、
関東:時事通信杯クィーンS→オクトーバーS→毎日王冠 関西:セントウルS→渡月橋S→京都大賞典 ともに 数字を統一(最低1つ、もしかすると両方)させる。 |
これが今回のヨミだ。
ちなみにオグリキャップの引退式が始まった92年/京成杯の関東のインフォメーションは、
夢、披露。 キミはここで、なにを見せてくれるのだろうか。 直線一気の差し脚、豪快な逃げ、好位抜け出し。 夢へ、自らの魅力を披露する、明け4歳の初舞台。 |
「夢」は、競馬ファンにとっては有馬記念、競馬関係者にとってはダービーを指すのだが、オグリキャップはラストランの有馬記念の目、
▽91年/有馬記念 1着 4枠左8番オグリキャップ武豊 2着 3枠右5番メジロライアン横山典 3着 7枠右13番ホワイトストーン柴田政 |
1着の4枠を関西で、2着の5番を関東で「夢、披露」して、それが引退式全体の統一数字だった。
やはり歌舞伎役者の大スターをくっきり浮かび上がらせるのが有馬記念なのだ。
ならばナリタブライアンの追悼式が始まった時事通信杯クィーンSの関東のインフォメーションは、
夢を咲かせる華となれ。 大地の風を感じた瞬間から、育ててきた夢がある。 美しさに強さを秘めた輝きが、明日の喝采を呼ぶ。 想いをかなえる4歳秋、君はどんな華となるのだろう。 |
全く同じ「夢」から書き出してオグリキャップ・引退式と同じシステムであることを強調していた以上、ナリタブライアンをくっきり浮かび上がらせるのも有馬記念でなくてはならない。
ただし、先週の《ひとことヒント》でも書いたように、インフォメーションでアピールしていたのは、
ナリタブライアン急逝の報を聞いて親戚縁者・知人が急いで集合する追悼式
だった。
従って有馬記念は有馬記念でも、
▽97年/有馬記念 1着 7枠左14番シルクジャスティス藤田(生産:早田牧場新冠支場) 2着 2枠右3番マーベラスサンデー武豊(生産:早田牧場新冠支場) 3着 6枠左12番エアグルーヴO.ペリエ |
正確にはナリタブライアンと同じ生産者である早田牧場新冠支場のゾロ目だった有馬記念を使って、時事通信杯クィーンSは2枠を使ってナオミシャインが2着、セントウルSは7枠左を使ってマイネルラヴが1着だったと思っている。
というわけで、私なりに統一される数字(ベースは97年の有馬記念)は、
オクトーバーS→毎日王冠=2枠 渡月橋S→京都大賞典=7枠左 |
果たしてナリタブライアンは遠い月で見得を切ってくれるのだろうか?
われわれはそのシーンを見て思いっきり「成田屋!」と声をかけられるだろうか?
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