小倉記念/水曜日版
(1998年8月12日提供)
日本馬の海外遠征のサイン(シーキングザパール→タイキシャトル)
週末の8月15日(土)は終戦記念日。
逆に競馬の世界では戦争が始まっていて、日本で教育されたシーキングザパールがヨーロッパG1を勝ったのは、ある意味で新世代の軍隊がヨーロッパに侵攻して「パールハーバー奇襲ならぬ、シーキングザパール作戦」を展開して勝ちをおさめたと考えれば良いと思う。
おっと、このあたりの表現にナーバスにならないでね。
世の中には武器を持たない経済戦争・企業戦争といった血を流さない戦争もあるんだからそっちをイメージしてほしい。
大体、あれ、アメリカのG1だったら勝っていない。
だって、日本とアメリカは日米安全保証条約で強力に結ばれている同盟国だもん。同盟国に競争(本当は競走なんだけど、敢えて「争」ね)しに行っても、ナアナアの話し合いと物見遊山の観光がスケジュールの全てなんだから、ホネヌキにされて帰ってくるに決まっている。
逆に、G1をグループワンと呼ぶ異質な競馬のヨーロッパだからこそ、バリバリのアメリカ血統のミスプロ系でアメリカ生まれのシーキングザパールと日本軍が同盟組んでEU経済に立ち向かった、そして勝ったということなんだろう。
そういう視点でみてみると、グレード制というアメリカ呼称の制度が採り入れられて以降、アメリカ血統の日本馬がヨーロッパで走るときは馬券になるけれど、アメリカ血統のアメリカ行きやヨーロッパ血統のヨーロッパ行きのようなナアナアパターンが馬券になった前例はない。もしかすると、そういうナアナアがある期間は、いつも一種の「国際サイン会議開催中」なのかもしれない。
そうすると、サイン読みは制作する側の人間が農林水産省のお役人である以上、そこには「お役人の論理」が反映されているはず。
・常に順位付けを意識する姿勢(高松宮記念レビューを参照)
・上(大臣)の首がすげ変わっても下の組織(お役人)は延々と同じ仕事に取り組むから、前例、継続性といった枠を逸脱することはない
ゆえに!
去年ヨーロッパ血統のヨーロッパ行きだったサクラローレルは年度代表馬という総理大臣だったのだから、あのオールカマー・神戸新聞杯で行われたサインは今回も継続する…。だから、シーキングザパールの勲章であるNHKマイルCの、
7枠右13番シーキングザパール武豊
をマイル戦の関屋記念で使う、で正解だったのだろう。
ならば今週の小倉記念当日はジャック・ル・マロワ賞にタイキシャトルが出走する。
前例・継続性を信じて、当然3乗、
a 97年/マイルCS 1着 3枠右5番タイキシャトル横山典 2着 6枠右11番キョウエイマーチ松永幹 3着 8枠左18番トーヨーレインボー松永昌 |
b 97年/スプリンターズS 1着 8枠左16番タイキシャトル岡部 2着 2枠右3番スギノハヤカゼ田島裕 3着 6枠左12番ワシントンカラー柴田善. |
c 98年/安田記念 1着 1枠左2番タイキシャトル岡部 2着 6枠右11番オリエンタルエクスプレスD.ホワイト 3着 4枠左8番ヒロデクロス吉田 |
このタイキシャトル・ポジションの枠・馬番を最低でも1つは使うと考えて構わないだろう。
問題は、どういう理由でどれを使うかだ。
そして、小倉記念の土日は世の中は終戦記念日だけど、競馬はシーキングザパールの戦勝ムードの余韻が残っているはず。
95年にフジヤマケンザンが香港のG1を勝ったときは、
95/12/10 香港国際C 95/12/24 有馬記念 6枠 2番フジヤマケンザン(森秀行調教師) 7枠左10番マヤノトップガン
田原7枠 10番ヴェンティクアトロフォグリ 2枠 2番タイキブリザード
坂本1枠 5番ジェイドエイジ 1枠 1番サクラチトセオー
小島太
戦勝ムードをモロに一発で使ったことがあったから、小倉記念は、
小倉あん=小豆が原料=小豆のその年の実収量は農林水産省が12月の末に発表する=小倉記念のサインの発表は有馬記念の頃にある(ここには記さないが、93年以前の有馬記念が翌年の小倉記念に及ぼしていた影響はスゲーの一言)
のように有馬記念の影響を受けるレースということもあって、小倉デビューのシーキングザパールの戦勝ムードに沸く今回は、これも当然3乗、先週の余韻の何かが使われるのだろう。
ただし、影響元のレースは2つある。
影響元
その1モーリス・ド・
ギース賞
(G1レース)3枠 8番(外)シーキングザパール(森秀行調教師)
武豊8枠 4番ジムアンドトニック
G・モッセ2枠 1番ムシーア
M・ロバーツ影響元
その2札幌
日経オープン
(ローカル競馬)
6枠右6番(地)スノーエンデバー(森秀行調教師)
佐藤5枠 5番(外)アラバンサ
四位7枠左9番(外)タイキマーシャル
田中勝
「なんだよ、単純にシーキングザパールが勝ったんだからモーリス・ド・ギース賞だけでいいじゃないか」という声が聞こえてきそうだが、どうして札幌日経オープンを考えなくちゃならないかというと、
(1)札幌日経オープンは小倉記念への連動レース
小豆が原料の小倉あん=小豆の国内の主産地は北海道=小豆の作況・相場は日本経済新聞で=北海道の日経レースの札幌日経オープン
94年以降、小倉記念は札幌日経オープンから目をもらい続けている「前例と継続性」がある。
ちなみに去年は16番同士が1着。
(2)シーキンクザパール&武豊はすぐには日本に帰ってこない
武豊の日本騎乗は次回は8月22・23日。シーキンクザパールなんかはもっと遠い先を見ていて、いつ帰国するかなんかよりも、次走の9月6日ムーラン・ド・ロンシャン賞以降の予定は来年のアメリカ遠征でそのまま繁殖入りだなんて言っているくらい。
いくら小倉デビューとはいえ、果たしてシーキングザパールの戦勝ムードは小倉記念のものだろうか?
(3)日本調教馬初の欧州G1制覇は、小倉記念で使いきるほど安っぽいものじゃない
フジヤマケンザン(森秀行調教師)の時、戦勝ムードを受け取ったレースはG1中のG1の有馬記念だった。
それに比べれゃ小倉記念は大根役者のためのレース。
大根役者の得意ワザはドサ回りなのだから、ローカル競馬の中からシーキングザパールの代役を探すべきだと思うのだが、(地)スノーエンデバー(森秀行調教師)は充分に代役に耐えられる顔(マル地)と実力(ジャパンCに出走している)と人間関係(同じ森調教師)を備えている。
本当は、森調教師さんは頭がピカっているから子供に人気のピカチュウだったりして。(ウソ)
他にもいくつかの理由があるから、恐らく札幌日経オープンの方が可能性が高いだろう。
これをタイキシャトルのG1レースと重ね合わせてみると、マイルCSの3枠5番の馬番と札幌日経オープンの2着の5番が共通する。
タイキシャトルが初めて経験するヨーロッパG1だから初めて経験したG1のマイルCSなのだろうし、京都開催の小倉記念には京都競馬場のマイルCSがお似合いと思って差し支えないと思う。
予告候補一番手は、ズバリ、5番だ。
もちろん、マイルCSの3枠がモーリス・ド・ギース賞のシーキングザパールの3枠と重なるから、3枠が二番手になるけど。
5番か3枠のどちらかが馬券になる、だけどそれ同士にはならない、一番手は5番の方。
と水曜日版ではまとめておこう。
あとはスゴイ勝手な夢物語をメモしておくけれど、シーキングザパール作戦で開戦した以上、この戦争はロングタームで考えなければならないと思う。
競馬はいつも、レコードブックに現代史を刻み、過去の歴史をコピーすることで変化していくゲーム。
この戦争は太平洋戦争と同じだから、最初は戦勝に沸き立つも、形勢逆転、日本が敗戦し、マッカーサーが進駐し、日本に新たな歴史が始まった戦中〜戦後史をコピーしたような数年間にわたる壮大なるストーリーが隠されているんじゃないかと思っている。
将来の日本の競馬を占う意味でも、マッカーサー(騎手−マッカーサーは帰ってしまうけれど彼が残した憲法は今の日本を縛っている)とマッカーサーが凱旋する車(馬)を想像しておくのも一興だろう。
そうすると、シーキングザパールが進駐したヨーロッパは夏のビッグレースのキングジョージをみてもわかるようにラムタラ世代が4世代続いたラムタラ天下だから、その空間(=敵地)に戦争を仕掛けた以上、将来のマッカーサー用の車はラムタラ産駒と読むことが出来るだろう。
またマッカーサー自身は、日本進駐軍にヨーロッパ馬が負けた同じ日に関屋記念で無理矢理落馬して泥にまみれた福永祐一と読むことが出来るだろう。
たぶん、いまはパッとしない福永だけれど、ラムタラの子供がデビューするとともにマッカーサー化して日本の競馬を総なめにする活躍をするんじゃないか。
だから逆に言うとこれからしばらくの競馬は、武豊の縁者や同期が勝つは、牝馬がわめくは、ミスタープロスペクター系が跋扈するは、タイキシャトルも勝っちゃってスゲーになるは、戦勝ムードに沸き立つシーンになるんじゃないかと思うんだけど、どんなものだろうか。
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