日本ダービー(東京優駿)/レビュー
(1998年6月8日提供)

ダービーが通り過ぎてしまった。
三強のうち絡むのは1頭だけで、それはスペシャルウィークですよと読めたからそれだけでよしとするのか。
雑誌の「競馬塾」の依頼原稿に書いた「3枠5番にスペシャルウィークかセイウンスカイ」がその通りだったから、責任は果たせたと考えるのか。
それとも7・8枠絡みの万馬券を考えていながらヨミを誤ってしまったことを一生悔いるのか。
そりゃ、悔いる方のウエイトが大きすぎるよな……。
いま、これを書き出した時間はダービー直後のPM16:00だから、時間を1時間前に戻してもらって、そこでスペシャルウィークから100円でいいから7枠・8枠に馬券を買いたい!
激しく切望!
とにかく複雑な心境のダービーになってしまった。
1着はよしとしよう。
うん、これはいいんだ、ダイヤルQ2でも三強のうちならばこれしかないと言えたし、唯一迷っていたセイウンスカイもレースの流れを見てこれは違うといえたし。
これはいいぞー、よしよし。
むなしいなあ。
それにしてもスペシャルウィークの武豊。
関東のインフォメーション「時代を創る英雄の情熱がある。」だから、なかなかダービーを勝たせてもらえなかった柴田政人騎手のウィニングチケットのインフォメーション「君が歴史を創る英雄。」を思い出したのだけれど、あの週の日曜日はずいぶん早いレースから柴田政人が連勝していたのと同じように、武豊は前日の18頭立て9Rで1着だったりメインレースで万馬券媒体してみたり、ダービー当日も7R・8Rと2着→1着だったり、あの時の柴田政人を彷彿させる活躍ぶりだった。
8Rのむらさき賞を1着になった時点で「あ、きまり。」と思ったのものだが、そう言えばウィニングチケットの時の柴田政人はレースの直前「顔面蒼白」の状態だったことを思い出して、テレビで輪乗りの時の武豊の表情がどうなってるのかなと見てみると、さすがにポーカーフェースナンバー1の武豊、完璧に「顔面蒼白」だったわけではないのだが、キリッと締まって緊張感に満ち溢れた表情をしている。
対するセイウンスカイの横山典は「すべてを諦めた」表情だし、キングヘイローの福永祐一は「極度の緊張」だし。
それだけ、「競馬人」にとってのダービーには重みがあるということなのだろう。
ただ、武豊と柴田政人には天と地の差がある。
ウィニングチケットのダービーのビデオを持っていらっしゃる方はご覧いただきたいのだが、柴田政人は自分の想いの丈をぶっつけるかのようにゴール前追っていたのだが、武豊はあくまでもクール。
ギャンブラーに一番大切なことはいかに自分の感情を押し殺せるかという「プロ意識」なのだから、ここ一番のダービーでもいつものようにクールに騎乗していた武豊の方が全然格上だろう。
というわけで、武豊は全ジョッキーの頂点で君臨する王様なのだから、例えば二世ジョッキーのフォロワーになる福永祐一がG1レースをとるときも今回の武豊と似たような形になると思う。
ダービーの出馬で言うのならば、

・父・武邦彦がダービー初制覇をしたロングエースは2枠6番
・息子・武豊がダービー初制覇をしたスペシャルウィークは3枠5番

この「枠と馬番を1つずつズラす」形。
だからといって福永のダービーがそうなるってわけじゃなくて、とにかく新人騎手の登竜門は必ず「牝馬」と歴史が物語っている。
例えば、

・武豊の重賞初制覇は京都大賞典のトウカイローマンという牝馬
・横山典のG1初制覇はエリザベス女王杯のキョウエイタップという牝馬
・福永祐一の重賞初連対はマーメイドSのゴールデンジャックという牝馬
・福永世代の花の12期生の古川吉・高橋亮のG1の1・2フィニッシュは阪神3歳牝馬S
・吉田豊のG1初制覇はメジロドーベル

もしかしたら、新人騎手=外からお迎えする人間だから、馬で言うのならばマル外。そのマル外の国のイギリス・アメリカは「レディ・ファースト」の国だから、牝馬がお墨付きを与えるということかもしれない。
だから、福永のG1初制覇は牝馬なのかもしれない。
父・福永洋一の桜花賞・エリザベス女王杯のインターグロリア、それが「枠と馬番を1つずつズラす」形でのダイレクトレースになるのか。
それとも、福永洋一の重賞初制覇は春の京都4歳特別での4枠4番タニノモスボローに対して、福永祐一の重賞初制覇は秋の東京スポーツ杯3歳Sの6枠8番(外から数えて5番目)キングヘイローだったように、「季節を逆にして、馬番をひっくり返して、その両サイド」だったから、桜花賞→秋華賞、エリザベス女王杯→オークスのようにするのか。
どちらかのパターンなんじゃないだろうか?

ダービーに戻ろう。
問題なのは、相手に8枠をとれなかったことだし、これは良くやってしまうことなのだがダイヤルQ2の新聞広告に書いたことをスパーッと忘れてしまうこと。
ちなみに今回書いたことは、

「今年は『大外枠でも良いから』とダービー出走権を希望していたマルゼンスキーの追悼年。大外枠である8枠に大注目だ。そこに弥生賞組が入っていればそこから買いたい。」

だって。
なんだよ、弥生賞組と8枠の組み合わせじゃんって、こういったケースで何回万馬券をとり損なったかわからないような気がする。

一番の敗因は、開催前日版で触れた内容のうち「エプソムCのレース結果を見て、弥生賞の馬や数字を使うのは控除率のシステムがある限り1個だけ。」のように「1個だけ」と考えたことだろう。
広告を出稿するための文を書く月曜日の段階では直感的に8枠じゃないか?なんて思っているのだし、水曜日版の段階でも16番ではないけれども8枠に注目していたのだから、出馬の中から8枠の右か中か左かさえ読めれば万馬券は何とかなったことになる。
でも「1個だけ」と考えた途端に、それまで思っていたことがスパーッとどっかに行ってしまうのだから、なんと言おうか。
結局、控除率のシステムの条件文を上手に理解できていないところに問題があるのだろう。
それを中途半端に皆さんに提示して、このホームページが無料とはいえ、皆さんに迷惑をかけてしまったのが心残りだ。
済まぬ。
確かに控除率のシステムは存在するのだが、今回のインフォメーションに関しては、上手に条件文を構築できていなかった。
結果は、

◎弥生賞
1着 8枠左13番スペシャルウィーク武豊
2着 7枠右10番セイウンスカイ徳吉
3着 3枠 3番(外に出した16番)キングヘイロー福永

◎日本ダービー
1着 3枠右5番スペシャルウィーク武豊
2着 8枠16番ボールドエンペラー河内
3着 7枠左15番ダイワスペリアー菊沢徳

だから、弥生賞の「1着馬と、1着枠の組み合わせ」「3着枠と、3着の外馬番の組み合わせ」でがんじがらめの状態になっていて、自分の条件文の作り方がめちゃくちゃになってしまっている。
そのかわり、今回のぼくが買ったスペシャルウィークの相手枠の5枠(実は5枠の2点しか買っていないんです。)は、別な「控除率のシステム」のトラップに完全に引っかかってしまっているから、あほらしいったりゃありゃしない。
例えば、4歳クラシックは全部抽選馬の隣枠が馬券になっていたというサイン。

・桜花賞は6枠11番に抽選馬のアインブライドがいたら枠連5−7が一発だから、これがサインのスタート。
・皐月賞は5枠10番と8枠16番に抽選馬がいたら、そのうち1つだけ隣を使って6枠のキングヘイローが2着。
・オークスは8枠17番に抽選馬がいたら、隣の7枠のエアデジャヴーが2着。

クラシックで3レース続いてたからといって、ニヤニヤしながら抽選馬の6枠11番ミツルリュウホウの隣の5枠か7枠だゼなんて思っていると、4分の3ルール、というかこの場合だと既に連対馬の4頭を教えているからもう打止めのはずなのに、それでも「シリーズ化されているか?」なんて思いながら水曜日版で述べた「秘密兵器」が同居した5枠に神経が集中しちゃっている。
でもってチュドーン。
もう1つチュドーンだったのが、今年の4歳クラシックは一方がサンデーサイレンスがいる枠ならば、もう一方はいない枠が絡んでいた。

・桜花賞の1着枠の5枠はサンデーサイレンスがいない、2着枠の7枠にはサンデーサイレンスがいる。
・皐月賞の1着枠の2枠にはサンデーサイレンスがいる、2着枠の6枠にはいない。
・オークスでも1着枠の3枠にはサンデーサイレンスがいないけど、2着枠の7枠にはいる。

従って、3枠のサンデーサイレンス産駒のスペシャルウィークを選択する以上、もう一方はサンデーサイレンスがいない枠だゼなんて思いながら5枠と7枠を見ると都合良くいない枠だからコレコレと思っていると、もう3回続けたやったのだから4回目は変化するでしょのパターンに引っかかってチュドドドーン。
両方のトラップに引っかかってしまっている。
というわけで「控除率のシステム」は明らかにあるのだけれど、条件文というか、プログラムされた内容を性格に理解していないと、インフォメーションのサインではぐちゃぐちゃになり、出馬のサインではトラップに引っかかることになってしまう。
なによりも提唱者である私がしっかりしなければならない「控除率のシステム」。
今の状態をもっともっと磨き上げない限り強力な武器にはならないのかもしれない。
もちろん私も頑張りますが、皆さんからの意見があったら是非メッセージ下さい。

さて、8枠右16番ボールドエンペラーのサインだが、結局は水曜日版で書いたフサイチコンコルドの引退式のマイルCS、

◎マイルCS
1着 3枠右5番タイキシャトル横山典
2着 6枠右11番キョウエイマーチ松永幹
3着 8枠左18番トーヨーレインボー松永昌

1着枠の3枠右がスペシャルウィークに当たりつつ、3着の同枠になる8枠右がボールドエンペラーに当たったという形なのだが、一番のサインは関東のサラブレッドインフォメーション、

成就へ、剛脚に宿る魂が唸る。

だった、あのダート変更になってクソ安い配当だった共同通信杯の出目とシステムだろう。

◎共同通信杯
1着 8枠右8番エルコンドルパサー的場
2着 3枠 3番ハイパーナカヤマ岡部
3着 4枠 4番[抽]ミツルリュウホウ橋本美

この時メモっていたノートを見ると、

「これは皐月賞かダービーの目。
マル外のマルゼンスキーが亡くなったときに、共同通信杯史上初めてマル外同士が1・2着になったという『意味があるレース』が追悼のサインをしないわけがない。
そして、インフォメーションの『〜へ、〜〜。』のパターンはほとんどG1レースに対するサイン。少なくとも出目は1つは絡むだろうし、もしかしたら一発か?」


だってさ。
そうすると、終わってみればの話なんだけれど、共同通信杯とダービーには1・2着に共通点がある。

1着枠:マル地の同居、かつナリタブライアン騎手の的場と武豊
2着枠:あの時は橋本の隣サイン(オリンピック期間中だから橋本聖子さんや〜スキーの種牡馬の隣はツルツル良く走るというサイン)が流行っていたのだけれど、橋本広喜の隣。かつ東西騎手会長の岡部と河内。


このように目も同じ、出馬のサインや騎手の構成も同じ。
もう通り過ぎてしまった時間には二度と戻れないのだから、あとは来年のダービーで活かすしかないだろう。
これほど強烈なサインを見せてくれた共同通信杯なのだから、来年も、間違いなく共同通信杯がダービーに連動するはずだとメモっておきたい。

そしてそんなに遠くの話じゃなくて近場に活かせるサインの発想としてだが、

◎日本ダービー
1着 3枠右5番スペシャルウィーク武豊
2着 8枠右16番ボールドエンペラー河内

どうして、

・長野オリンピック期間中の共同通信杯の出目とシステムを一発で使ったのか?
・長野オリンピック期間中のNHK賞きさらぎ賞の1・2着馬がまたまた同時に1・2着になったのか?
・長野オリンピック閉幕式のクィーンC以来の、同時連対馬(クィーンCは赤松賞、ダービーはきさらぎ賞)の1・2着なのか?
・ダービーが去年の枠連3−8と全く同じ3−8だったのか?

と、「オリンピック期間中の全て」と「去年」が凝縮された形になっているのか?と激しい疑問
を持つことだと思う。
そうすると、来週からは盛大なる世界の祭典のワールドCの期間中なのだから、同じ盛大なる祭典のオリンピックの期間中のことをコピーしますよという宣言なのだろうし、その舞台で主役になった馬たちも何らかの形でお仕事をするのだろう。
そして、もう1つ「別なお祭り期間」を探し出してきて、その期間中のコピー、その主役たちの活躍も考えておかなければならないだろう。
ともあれ、来週からの競馬は「オリンピック期間中の全て」と「別なお祭り期間の全て」の融合になるはずだ。
あとは、今までの春のG1シリーズを振り返ってみての最大なる異常性は、

どうして、年度代表馬がG1レースに出走したのは、桜花賞とオークスのアインブライドだけなの?
そして、桜花賞→皐月賞とオークス→ダービーはそのアインブライドの同枠が2着だったの?


だと思う。
このあたりのことが、安田記念から宝塚記念、そして秋のG1シリーズに向かって大きなヒントになるのではないだろうか?

[index] | [next] | [back] | [mail]